増刊号 尿検査法
II.各論
16.腎機能検査
(2)PSP試験
堀江 重郎
1
,
東原 英二
1
1東京大学医学部泌尿器科
pp.172-173
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901109
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はじめに
PSP(フェノールスルホンフタレイン)排泄試験は手技が簡便であるため,腎機能のスクリーニングに広く使われてきた.
静注されたPSPは体内で約80%がアルブミンと結合し,20%が遊離の状態で存在する.遊離のPSPのうち約20%(全体の4%)が糸球体で濾過され,残りの96%は近位尿細管から排泄される.したがって,PSP排泄試験は,近位尿細管の排泄能力を反映しうるが,試験時に注射するPSPの血中濃度(0.2mg/dl)は,近位尿細管における分泌極量(40mg/dl)よりかなり低いため,PSP排泄量は,近位尿細管機能よりも腎血漿流量(RPF)に左右される.PSP排泄試験の15分値(PSP・U15)がもっともRPFと相関が強いため,15分値により,腎血流量,および大まかなGFRの推定ができる.またPSPの経時排泄量の変化は,尿路死腔,尿路通過状態や残尿の有無の推定,および採尿が完全かどうかのチェックに用いられる.
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