増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
腎機能検査
167.Fishberg濃縮試験
丸茂 文昭
1
1東京医科歯科大学医学部・第2内科
pp.2038-2039
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222856
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●なぜFishberg濃縮試験をするか
腎血漿流量(RPF)や糸球体炉過率(GFR)といった腎臓が老廃物をどのくらい排泄しているかという腎の排泄機能検査とは,Fishberg濃縮試験は基本的に異なった意味をもっている.RPFやGFRは腎臓の老廃物排泄機能を示すのに対し,Fishberg濃縮試験は尿の濃縮機能,すなわち腎髄質の機能検査である.腎髄質の病変のみが現れるか,ネフロン全体の機能低下に先立って現れる場合には極めて診断的価値が高い.典型的な例としては,慢性腎盂腎炎のように上行性に繰り返し炎症が起こり髄質内層の炎症反応が強く現れる場合で,この時はFishberg濃縮試験の悪化に比し,RPF,GFRの低下は相対的に軽度となる.
図1にみるようにヒトには皮質ネフロン(shortloop)と傍髄質ネフロン(long loop)があり,数としては少数のlong loopが尿の濃縮を強く行っている.このlong loopはcounter current systemの主要な因子で,とくにこのsystemの特徴として腎質内層の存在が大きい.ネフロンの部位,皮質か髄質のどこが障害を受けるかによってFishberg濃縮の成績とその診断的意義が大きく変わる.
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