技術講座 一般
PSP排泄試験
川上 圭子
1
1虎の門病院臨床化学
pp.445-447
発行日 1977年6月1日
Published Date 1977/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201379
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PSP排泄試験は腎機能を調べるために他の検査法よりも最もよく用いられる.PSPはフタレイン誘導体でpHの変化によって変色する色素製剤で,検査には黄色(pH 6.8)から赤色(pH 8.4)に変わるphenolsulfonphthalein monosodium塩(図1)が用いられ,人体には無毒で刺激性がない.静注されると短時間(10分以内)に尿中に出現し,2時間後には約85%が排泄されることを利用して,一定量のPSPを静注し,一定時間内に排泄されるPSP量の割合から腎機能の程度を知るものである1,4).
PSP試験では腎疾患の診断をすることはできないが,近位尿細管の機能を知ることができる.PSPは糸球体からはほんの一部(約6%)が排泄されるに過ぎず,大部分(約94%)は近位尿細管から排泄され,特に腎を流れる血漿流量を反映してPSPの排泄量が低下する.糸球体の変化を知る糸球体濾過値(GFR;イヌリン,ハイポ,クレアチニンクリアランス)や尿素クリァランスが低下する以前にPSP排泄量が減少し,1分間に腎を流れる血漿流量を知る腎血漿流量(RPF;パラアミノ馬尿酸クリァランス)のような繁雑な検査法に代用する簡便な日常検査法として,腎疾患の早期発見に役立つ検査法である.
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