検査法の基礎
クラミジアの感受性検査
日野 二郎
1
1川崎医科大学附属病院呼吸器内科
pp.201-206
発行日 1992年3月1日
Published Date 1992/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900973
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サマリー
クラミジアは,眼科,内科,泌尿器科,産婦人科,小児科,外科,整形外科などの多くの領域にわたりさまざまな感染を呈することが知られている1).クラミジア感染症は,世界においても最も多い感染症とされているが,分離には細胞培養を必要とし,分離環境の安全性についても高い水準を要求される.これらの問題点のため,クラミジア感染症は従来の細菌感染症に比べその臨床像の解明が遅れたのみならず,一般臨床検査室においても検査対象にならない存在であった.しかし,近年多くの抗体測定キット,抗原検出キットが開発され,クラミジア感染症は比較的容易に診断され,また分離同定法の進歩により,多くの臨床分離株が確認されるようになった2,3).
治療面においては,従来よりテトラサイクリン,マクロライド系抗菌剤が極めて有効であるが,現在多くの新しいキノロン系,マクロライド系抗菌剤が開発され,今後のクラミジア感染症治療薬として期待されている4).また耐性株の存在はほとんど知られていないが,今後増加する可能性もあり,分離株に対する感受性測定法の確立が望まれていた.最近,日本化学療法学会において薬剤感受性検査の標準法5)が呈示されたのを受けて,今回標準法を中心としたクラミジア感受性検査の解説を行った.
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