明日の検査技師に望む 教える立場から
進取の気持ちと実行とヒューマンリレーションを大切に
岡部 紘明
1
1熊本大学医学部臨床検査医学
pp.822
発行日 1991年9月1日
Published Date 1991/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900803
- 有料閲覧
- 文献概要
人にこうあって欲しいと望むことは簡単であり,無責任であるかもしれない.各々の検査手段や技術の発展は時代の背景があり,今考えていることは,次の時代には必要なくなっているかもしれない.医学は応用科学でもあるため,ラグタイムはあってもかなり速いスピードで医療の現場に入り込んでくる.自動化,システム化は今は当然のこととなってきている.予防医学,臓器移植,遺伝子診断の問題が取り上げられ始めたときは,すでにその検討は行われていると考える必要がある.医療現場ではいつでも対応できる準備をしておかなければならない.
現在,医療技術短期大学や薬学部で臨床化学や臨床検査医学を教え,講義する立場でもあり,また中央検査部長としては現場監督者でもある.巣立ったばかりの若い検査技師に望むことと,すでに先輩として中堅的な立場の検査技師の方に期待することが相反することになる場合もある.社会的には,臨床検査技師という技術者として法的に認められた立場は,予防医学,病理細胞診,超音波検査,内視鏡検査,臨床工学,また病理部や輸血部などと専門化され狭い領域を深く追究することが求められ,研究者としての力も要求されてきている.しかし,反面若い人口が減少してきているため,現状のままでは日本の社会体制をそのまま反映して,いずれ技術者不足となる可能性がある.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.