トピックス
静脈カテーテル感染
後藤 美江子
1
,
島田 馨
1
1東京大学医科学研究所感染症研究部
pp.1325-1326
発行日 1990年9月1日
Published Date 1990/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900386
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近年,各種の輸液または薬剤を経静脈的にカテーテルを挿入して投与する機会が増えるとともに,これに関与する感染が問題となっている.その原因の一つとして,医療設備や技術の向上にもかかわらず,compromised hostや高齢者など易感染者の増加が挙げられる.
ところで,カテーテルに関連して分離される微生物は1970年代前半にはEnterobacteriaceae(Escherichia coli,Klebsiella pneumoniaeなど),グラム陽性球菌(Staphylococcus aureus,Staphylococcus epidermidis,Enterococcus sp.)が主であった1).1970年代半ばから1980年以降においては,高カロリー輸液のIVHカテーテルの普及や使用される抗菌剤の変遷などにより分離される微生物にも変化が現れ,多剤耐性のStaphylococcus,真菌,ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌(Pseudomonas aeruginosa,Acinetobacter sp,Pseudomonas cepaciaなど)の分離率の増加が目だっている2,3).Staphylococcusの中では多剤耐性のメチシリン耐性ブドウ球菌(methicillin-resistant S. aureus;MRSA)が院内感染として術後患者などに波及し,重篤な予後を呈することが広く報告されている.
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