検査データを考える
抗核抗体の異常
𠮷野谷 定美
1
,
長野 百合子
2
1東京大学医学部臨床検査医学教室
2東京大学医学部附属病院検査部
pp.1063-1065
発行日 1990年7月1日
Published Date 1990/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900318
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
抗核抗体の検査が,膠原病をはじめとして広く内科疾患の診断に利用されている.一般的な検査の進めかたとしては,蛍光抗体染色法による染色パターンの識別と,寒天ゲル内沈降反応による抗ENA抗体の同定を取り入れているところが多いようである.今後,この検査法の進めかたが変わる可能性があるが,抗核抗体そのものの価値はますます重くなるであろうと予想される.
さて,今回の主題に入る前に,現在行われている抗核抗体の内容について合意しておきたいと思う.蛍光抗体間接法でHEp-2細胞を核材として用いる場合,通常5型の染色パターンで報告している.すなわち,①peripheral(辺縁型),②homogeneous(均質型),③speckled(斑紋型),④centromere(セントロメア型),⑤nucleolar(核小体型)の5型である.このほかの抗核抗体については⑥others(その他)として報告するが,もちろん抗細胞質抗体を含めない,いわゆる核染色のもので,前記の5型に含まれないパターンという意味である.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.