検査ファイル
〈項目〉心室遅延電位
中居 賢司
1
1岩手医科大学臨床検査医学講座
pp.989-991
発行日 1990年6月1日
Published Date 1990/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900296
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〔1〕定義と歴史的背景
心室遅延電位(late potential;LP)は高感度増幅,信号加算,フィルター処理により,QRS終末部から後方のST部分に数μV前後の,微小な持続する電位として記録される.LPの歴史的背景は1973年Boineauが梗塞犬でfragmented electrogram(FE)を記録,1978年Josephsonらは臨床例の心内膜電位記録においてFEを記録し,1981年Rozanski1),Simson2)が患者の体表から高感度増幅,信号加算によりLPを記録したことに始まる.
体表面から記録されるLPは心内膜,あるいは心外膜マッピングから記録されるFEと関連し,心筋内の緩徐で不均一な興奮伝播により発生するといわれている.臨床的にLPの存在は心筋梗塞などのリエントリーに基づく持続性心室頻拍の発生成因および予後との関連について注目されている.
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