増刊号 血液・尿以外の体液検査法
12 羊水
A.総論
桑原 慶紀
1
,
海野 信也
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.679-683
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900198
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はじめに
羊水は妊娠中に比較的容易に得られる唯一の胎児成分であり,羊水腔の直接穿刺によって採取することができる.羊水は,胎児が生存し発育するための,胎児にとっての外部環境を構成する重要な要素となっており,羊水の産生や羊水中諸物質の組成には胎児が深くかかわっている.それらを分析・検討することによって,胎児の発達・成熟状態,胎内環境の変化などに関する情報を得ることができる.また,羊水中に浮遊する細胞は,胎児皮膚,口腔気道粘膜,羊膜などに由来しており,胎児と同一の染色体構成をもっているので,これを培養し,その染色体分析を行うことによって,出生前に染色体異常の有無について知ることが可能である.
羊水穿刺検査法は,その検査目的によって大きく二つに分けられる.遺伝相談の一環として行われる先天異常の出生前診断のための羊水穿刺はgenetic amniocentesis,その他は診断的羊水穿刺(diagnostic amniocentesis)と呼ばれている.
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