連載 やなさん。NY留学記・12
いろんな山場を迎えた話.
柳田 絵美衣
1
1Memorial Sloan Kettering Cancer Center
pp.1163
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209483
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「この染色が何に使えるか考えて.」 米国に来てすぐボスに言われた言葉.ある染色の判定法が確立されておらず,「何に使えるのか考えて.」というザックリした内容.誰も思いつかないことを思いつかなくてはならない! 高すぎるハードルに動悸が……だが,ラボの中で病理検査に精通しているのが柳田.やるしかない.とにかく数十枚の染色標本を見て,症例の組織型,悪性度ごとに違いがないかを調べた.すると発見!! 形,大きさ,分布場所などに違いが! 柳田は陽性所見から,正常細胞,低・中・高悪性度を分類する方法を考案した! ボスに報告すると「へぇ〜.」……それだけ!? ボスよ,もうこの染色に興味無くしてるやん! 柳田撃沈.
その約1年後,他部署から「あの染色と別の2種類の染色を比較して,この染色の有用性を証明して.」という依頼が来た.ボスの熱量,一気に爆上がり↑↑.以前考えた陽性所見の形態から分類する方法では他の染色と比較ができない.そこで画像解析ソフトの英語説明書を読みながら,「ここ押すんか?」と言いながら,陽性シグナルの定量化に挑戦.計測していると,見えた! 定量化した数値を法則に従って区切ると,悪性度レベルで分けることができた! これをボスに報告した数日後,ボスに呼ばれ,医師達の前でプレゼンすることを告げられた(もちろん柳田は英語ができないため,ボスが代役♡).プレゼンまで2週間.それから毎日,早朝から深夜までラボで資料作成.ボスに見せるたび「3Dグラフ欲しい」「あの画像入れて」「あ,やっぱりこれ要らない」と言われ,何十回と作り直し,なんとかプレゼン日を迎えた.
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