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超音波画像には,生体内の構造を反映した本来の構造物以外にも,実際には存在しないのに表示される,“虚像”と呼ばれる像が生じることがあります.この虚像を“アーチファクト”といいます.アーチファクトには所見の見落としや疾患の誤診につながるアーチファクトもありますが,病変発見の手掛かりになるアーチファクトもあります.超音波の特性を理解しておけば,出現するアーチファクトはある程度決まっていますので,苦手意識をもたずに対策しましょう.
“サイドローブ”とは,“サイドローブアーチファクト”の意味で,音圧の低い副極(サイドローブ)からの反射によって発生した虚像です.無エコーの腔に出現することが多く,代表的なものに,debrisに似た胆囊内のエコー像があります.また,循環器領域では問題1のように,左房内に出現し,血栓や左房後壁エコーに類似したエコー像を呈することがあります.“音響陰影”は骨や結石,空気など,周囲組織に比し音響インピーダンスに差がある組織の境界面では超音波が透過しないため,後方にエコーが届かず黒い影となります.音響陰影により深部の画像情報は得られませんが,結石の後方の音響陰影の有無により,胆石の質的診断も可能です.“外側陰影”は腫瘍の側面から後方にみられる音響陰影のことをいいます.辺縁が平滑な球状の腫瘤や,または周囲の組織と音速が異なる腫瘤の場合に,超音波が屈折することで生じます.“多重反射”とは,超音波が境界面で何度も反射を繰り返すことによって発生します.胆嚢腺筋腫症などでみられる,胆囊壁内の微小結石に起因するコメット様エコーも多重反射の一種です.超音波が横隔膜のような強い反射面で反射すると,横隔膜を挟んで病変と反対側に虚像が描出されることがあり,これを“ミラーイメージ”といいます.肝臓の背方に肝実質の内部エコーや肝内の腫瘍と同様な像が観察されますので,虚像と正しく判断することが求められます.
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