FOCUS
新しいβラクタマーゼ阻害剤
西村 翔
1
1兵庫県立はりま姫路総合医療センター感染症内科
pp.476-478
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208963
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はじめに
わが国で利用できる既存のβラクタマーゼ阻害剤はスルバクタム,クラブラン酸,タゾバクタムのいずれかである.これらのβラクタマーゼ阻害剤はβラクタム系抗菌薬との合剤として販売されており,この合剤としての活性は,①βラクタム系抗菌薬の活性と,②βラクタマーゼ阻害薬剤のβラクタマーゼ阻害効果によって決定される.
βラクタマーゼの産生が問題となるのは主にはグラム陰性桿菌であり,既存のアンピシリン・スルバクタム,アモキシシリン・クラブラン酸(日本では経口製剤のみ),セフォペラゾン・スルバクタム,ピペラシリン・タゾバクタムはいずれも,カルバペネマーゼ産生菌に対する活性はなく,ESBL(extended-spectrum β-lactamase)やAmpCなどの広域βラクタマーゼを産生する腸内細菌目細菌やカルバペネマーゼ非依存性にカルバペネム耐性を示す緑膿菌に対しても安定した活性は期待できない.そこで登場したのが新規のβラクタマーゼ阻害剤の合剤であるセフトロザン・タゾバクタムおよびイミペネム・シラスタチン・レレバクタム(以下,イミペネム・レレバクタム)である.以下ではこれらの2剤の特性を既存薬と比較するかたちで解説する.
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