臨床検査のピットフォール
結核菌検査のピットフォール
山本 剛
1
1神戸市立西神戸医療センター臨床検査技術部(前 神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部)
pp.700-705
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208419
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はじめに
日本における結核罹患率は年々低下傾向にあり,2019年には11.5となりました1).1962年の結核罹患率が403.2であったことを考えると大幅に減少したものと思われます.結核を診断するうえで結核菌を分離する臨床的意義は高く,結核患者の治療を早期に行えることは結核感染対策を行ううえで非常に大きな意味をもちます.
しかし,それとは裏腹に国内の多くの施設では結核菌検査は院内で実施していないのが現状です.それは結核菌検査はバイオセーフティーの確保を行ううえで設備投資が必要となり,手間がかかるためその分の臨床検査技師の人員配置も必要であるのに加えて,低い保険点数にもかかわらず,試薬コストは高いことが原因です.外部委託化によって検査の質が落ちることはないのですが,報告までの時間がかかり,報告書を集中して確認する機会が減ります.そのため,結果の見落としや結核感染対策の遅れ,結果解釈が十分に行えないなどデメリットも存在します.今回は実際に経験した事例を通して結核菌同定のピットフォールについて紹介し,解説を行います.
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