増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
各論 菌種別の培養・同定方法
クラミジア/マイコプラズマ/スピロヘータ/リケッチア
梅毒トレポネーマ—Treponema pallidum
大楠 清文
1
1東京医科大学微生物学分野
pp.358-360
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208319
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
・梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)は直径0.1〜0.2μm,長さ6〜20μmの屈曲した6〜14施転のらせん状菌である.
・通常の明視野光学顕微鏡では視認できず,暗視野顕微鏡で観察される.
・試験管内での培養は不可能で,ウサギの睾丸内で培養する以外に現実的方法はなく,血清学的な診断が主流である.
・血清抗体は感染後,初めにカルジオリピンに対する抗体価(非トレポネーマ抗原による検査:VDRL,RPR,自動化法)が上昇し,次いでトレポネーマに対する特異的抗体価(トレポネーマ抗原による検査:FTA-ABS法,TPHA法)が上昇する.
・海外ではペニシリンGの筋注単回投与が一般的であるが,国内ではペニシリンGの筋注は使用できないため,経口合成ペニシリン剤(アモキシシリンなど)を長期間投与することが推奨されている.
・全数報告対象の5類感染症である.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.