臨床検査のピットフォール
腎機能評価にeGFRを用いる際の注意点
山本 裕之
1
1大阪赤十字病院臨床検査科部
pp.543-545
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208003
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はじめに
腎機能の基本である腎糸球体濾過量の測定は,国際的にはイヌリンを用いたイヌリンクリアランスがゴールドスタンダードである.しかし,イヌリンクリアランス測定法は非常に煩雑であり,イヌリン測定自体が一般病院では実施されていない.そこでイヌリンよりも測定が簡易的なクレアチニンクリアランス(creatinine clearance:Ccr)による推算式が利用されてきた.しかし,これらも多剤耐性緑膿菌(multidrug resistant Pseudomonas aeruginosa:MDRP)などの院内感染の問題があり1),蓄尿検査を行わない病院が増えてきている.また,外来患者においても,蓄尿検査を行うことは難しい.そこで,血清クレアチニン(creatinine:Cr)から算出される推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)を用いることで,簡便に腎臓の状態を判断することが可能となり,臨床で広く用いられてきた.本稿では腎機能評価にeGFRを用いる際の注意点について述べる.
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