連載 帰ってきた やなさん。・8
やっぱ熱いな! さすが温泉県,大分!
柳田 絵美衣
1,2
1慶應義塾大学病院臨床検査科ゲノム検査室
2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
pp.443
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207967
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「大分県で講演をお願いできませんでしょうか?」そんな文字を,まさかSNSのメッセージで見るとは思わなかった.おいおい,大分,イマドキだな.「これ……いつ来たメッセージだよ」日付を見ると……2カ月前! いいや,まさかSNSで依頼が来るとは思ってないよ! 焦ってすぐに返事を送った.もう2カ月も前だし,講演はなしかな……なんて思っていると,「ありがとうございます! では,日程を!」と超迅速なレスポンス! 熱すぎるだろ大分! そして,講演依頼の内容に,さらに度肝を抜かれた.「一部 がんゲノム医療について90分,二部 自己紹介90分」……え?二部構成!? しかも1人で二部構成!? え?自己紹介90分!? いやいや大分,構成がぶっ飛んでる! 柳田の自己紹介90分もいる?誰が知りたいのさ!と,プログラム構成にかなりどきどき.「事前に参加申し込みしないので,当日何人来るか,わからんですよぉ」と言われた.
柳田1人の180分……誰が,聴きたいと思ってくれるんだよ……めちゃくちゃ不安のなか,講堂の一番前の席に座り,講演時間まで前を向いていた.後ろを振り向く勇気が出なくて,何人来てくれるんだろうって,ずっと前だけ向いていた.「では,時間になりましたので……」座長の声のなか,演台に立ち,会場を見た.「なんだよ……これ」講堂いっぱいの人.皆,私を見ていた.演台に立つとわかる.その視線が,どんな視線なのか,演者はわかる.大きくて厚みのある,熱い視線だった.私1人の180分に,こんなにも多くの人が時間を割いて,この場に来てくれている.がんゲノムのこと,自分のことを話した.
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