臨床検査のピットフォール
尿検査における癌細胞の同定—反応性細胞との鑑別に注意
佐伯 勇輔
1
,
山中 睦美
1
,
檜垣 めぐみ
1
1西条中央病院臨床検査部
pp.1312-1316
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207810
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はじめに
尿中に出現する上皮細胞などの有形成分を形態学的に観察する検査として尿沈渣と尿細胞診が挙げられる.
尿沈渣の臨床的意義は,腎・尿路系病変のスクリーニングおよびそれら病変に対する治療効果や薬剤の副作用判定についての情報収集である1).一方,尿細胞診では尿路上皮癌のスクリーニング,診断,治療後の経過観察を目的として行われ,自然に排出された尿を用いることが多い2).両検査においては共通の尿検体を用いるため,知識や患者情報の共有が必要となる.特に,尿路系悪性腫瘍のスクリーニングは両検査において極めて重要である.しかし,尿中には反応性尿路上皮細胞や反応性尿細管上皮細胞,ウイルス感染細胞などの良性異型細胞が出現するため癌細胞との鑑別が問題となる3).そのため,筆者ら4)は以前,反応性尿路上皮細胞と尿路上皮癌細胞においてvimentinを用いた免疫細胞化学を行い客観的な鑑別を検討した.
本稿では,検討結果の解説および良性異型細胞を提示し,臨床的背景も加味した鑑別の注意点を述べる.
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