FOCUS
がんゲノム医療の動向
秋田 弘俊
1,2
1北海道大学大学院医学研究院腫瘍内科学教室
2北海道大学病院腫瘍内科,がん遺伝子診断部
pp.787-793
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207618
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
がんに対するPrecision Medicineの具体的なツールとして,“がんゲノム医療”への期待が高まっています.
米国では,2010年ごろから大学や研究所,そして,そこから生まれたベンチャー企業においてがん遺伝子パネル検査注1が行われてきました.2015年1月には,当時のオバマ大統領の一般教書演説において“Precision Medicine Initiative”が発表され,世界的にも注目されましたが,以降,米国政府は毎年500〜600億ドルの公的予算を,がんゲノム医療の研究開発費として投入しています.背景には,効果的で安全な治療を提供し,効果の乏しい治療を排除することで医療費削減を図るねらいもあります.フランスではターゲットパネルシークエンス拠点の整備,がん患者5万人/年の全ゲノムシークエンスが行われ,イギリスでもがん患者10万人の全ゲノムシークエンスが実施されました.このような海外の動きを踏まえ,日本でも“ゲノム情報を用いて治療に介入するがんゲノム医療”を早急に開始する必要があります.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.