増刊号 現場で“パッ”と使える 免疫染色クイックガイド
3章 免疫染色に強くなる! 免疫染色の極意
器具・機器
柳田 絵美衣
1,2
1慶應義塾大学医学部病理学教室
2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
pp.1062-1064
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207351
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世界のスライドガラス事情 親水性が好まれるのは日本だけ!
■免疫染色で使用するのはコーティングガラス
現在,免疫染色を目的に開発されたスライドガラスが数多く販売されている.自動免疫染色装置による非特異的な染色ムラを抑制し,親水性や切片の伸展性,切片との強い接着力に優れ,さらに短時間での未染色標本の乾燥なども特徴としている.
HE(hematoxylin-eosin)染色などとは異なり,免疫染色では染色の工程で加熱や加圧などの物理的刺激や,酸や塩基などの化学的刺激を受ける場面がある.それらの刺激により,切片がスライドガラスから剝離しやすくなる(1章 p.994参照).そのため,免疫染色では切片の剝離を防止するために,必ずコーティングガラスを使用する.コーティングガラスは,細胞表面が負電荷を有していることを利用しており,正電荷を有している物質をガラス表面に塗布することで細胞との接着を強めている.塗布する物質としては,ポリ-L-リジンやアミノシランなどが用いられている.また,コーティングガラスを使用しても,スライドガラスと切片の間に水分が残存していると,その隙間から切片が剝離する場合があるので,確実に水分を乾燥させて取り除いてから,スライドガラスと切片を接着させる必要がある(1章 p.996-997参照).
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