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結核菌検出法アップデート
大塚 喜人
1
1医療法人鉄蕉会亀田総合病院臨床検査部
pp.616-618
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207229
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はじめに
近年,新たにさまざまな遺伝子検査技術が開発され,海外からも導入されているものの,診療報酬上の問題から臨床現場に活用されていないのが現状である.そこに2017年1月1日より,診療報酬の検査の部で,微生物学的検査D023微生物核酸同定・定量検査の結核菌群核酸検出(410点)に新たな技術として“核酸増幅とキャピラリ電気泳動分離による検出を組み合わせた方法”が追加された.通常,核酸増幅法であるPCR(polymerase chain reaction)では非特異的増幅産物ではなく,標的増幅産物のみを検出することが極めて重要である.“核酸増幅とキャピラリ電気泳動分離による検出を組み合わせた方法”では,PCR後の増幅産物サイズの違いを分離検出できるキャピラリ電気泳動を行うことにより,標的増幅断片のみの検出を可能としている.この増幅断片サイズを調べるためにはコンタミネーションリスクが高い煩雑な作業が必要であるが,和光純薬工業社(現:富士フイルム和光純薬社)はμ-TAS(micro total analysis system)技術によりこの問題点を解決し,PCR増幅された断片を微細流路により分離検出する方法を開発した1).さらにこの方法を利用して全自動遺伝子解析装置ミュータスワコーg1(図1)を開発2)し,結核菌検出へ応用させた.
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