FOCUS
内視鏡的に病理組織診断をするという時代へ
野中 康一
1
1埼玉医科大学国際医療センター消化器内科
pp.1124-1129
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206959
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はじめに
近年,消化管腫瘍に対する内視鏡診断技術の進歩は著しく,約100倍に拡大観察が可能な内視鏡の普及によって,消化管腫瘍性病変の画像診断能は飛躍的に向上してきた.現在多くの施設で使用されている拡大内視鏡は約100倍の拡大率をもち,消化管粘膜の腺構造や微小血管を観察できるが,さらに,1,000倍の拡大率で消化管粘膜の細胞レベルでの観察を可能にした共焦点内視鏡(confocal laser endomicroscopy:CLE)が市販されるようになった.
CLEは,消化管粘膜の一定深度の細胞を水平断で,生体標本の病理診断と同等レベルでリアルタイムに観察し,実際に組織採取を行うことなく病理診断を可能にしうる新たなモダリティーである.わかりやすく言えば,病理診断科で病理医が診断のために使用している顕微鏡が,内視鏡の先端に装着されているようなものである.それでは今後,病理医あるいは臨床検査技師の需要は減っていくのだろうか? CLEなどの超拡大内視鏡がさらに普及してくるであろう時代を迎えるにあたり,本稿では,病理組織を取り扱う臨床検査技師や今後臨床検査技師を目指す学生が知っておきたい超拡大内視鏡の知識,内視鏡室が病理検査室に求めることは何かなども含めて述べたい.
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