トピックス
VEGF-Aの“質”に着目した血管病評価への新しいアプローチ
菊地 良介
1
1名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
pp.12-14
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206710
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“量”から“質”へ
dysfunctional HDL(high-density lipoprotein)という言葉がある.血中HDLコレステロール値と心血管疾患のリスクが反比例することは多くの臨床研究で示され,“HDLコレステロール=善玉コレステロール”という概念が定着している.しかし,多くの薬物療法によるHDLコレステロール値に対する介入試験では,冠動脈疾患患者におけるHDLコレステロール上昇がことごとく予後改善に結びついていない.その結果,“HDLコレステロール=善玉コレステロール”という既成概念に疑問が呈されている.このような背景から,HDLコレステロールは“量”ではなく“質”が重要とする考え方が提唱され,コレステロールを逆輸送できないHDLをdysfunctional HDLと呼ぶようになった.このような“量”ではなく“質”が重要とする考え方は,HDLコレステロールだけではなく,血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor-A:VEGF-A)にも当てはめることができる.
本稿では,VEGF-Aの“質”に着目した血管病評価への新しいアプローチについて紹介する.
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