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ジカウイルス感染症
忽那 賢志
1
1国立国際医療研究センター国際感染症センター/国際診療部
pp.15-17
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206711
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ジカウイルス感染症
ジカウイルス感染症とは,フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによって起こる蚊媒介性感染症である.ジカウイルス感染症を媒介する蚊は,主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)とヒトスジシマカ(Aedes albopictus)である1).日本にはネッタイシマカは生息していないが,ヒトスジシマカは青森県〜北海道を除いた日本全土に分布している.このため,日本国内でも輸入例を発端とした流行が起こりうる.また,性交渉によって男性から女性,男性から男性に感染したと思われる症例も報告されている.当初,性交渉による感染例は全体のごく一部であると考えられていたが,決してまれではないようである.回復から6カ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告もあり2),現時点では,いつまでジカウイルスが精液中に残存するのか不明である.
ジカウイルス感染症は近年,急速に流行地域を拡大しており,2015年〜現在にかけて,中南米で大流行を起こしている3).中南米以外にもオセアニアやベトナム,タイ,シンガポールなどの東南アジアでも症例が報告されている.日本では2016年10月時点で12例の輸入例が報告されている4).
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