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はじめに
皆さん,この写真(図1)をご存じだろうか.これは臨床検査振興協議会が作成した「臨床検査にはこんなに多くの人がさまざまな形でかかわり,医療に役立つ正しい検査結果を産み出すためにさまざまな努力を行って働いているんですよ」ということを,逆説的に「ありがとう臨床検査のみなさん」とすることで,広く国民に知ってもらう(広報の)ためのポスターである.
“臨床検査”はこの半世紀あまりで長足の進歩を遂げ,日常診療にもなくてはならないものになっている.機器も試薬も改良が進み,生化学・免疫学・血液学・微生物学の発達とそれぞれの分野における遺伝子の応用科学の発達に伴い,これからも多くの臨床検査が生まれてくるであろう.
しかし,臨床検査のこのような発達に“臨床検査を取り巻く法環境*1”の整備が追いついておらず,この部分でも行政に積極的な働きかけを行おうと,臨床検査振興協議会は活動している.
臨床検査技師の皆さんは,いつも自分の出したデータが正しいものか,診療の役に立つものかを気にかけていると思う.そのために,われわれは3つの精度管理を行っている.これは,検体・分析・成績の3つである.この3つの全てが適正に管理されていることが,臨床検査には必要である*2.このように,われわれは日常で当たり前に厳密な精度管理を行っているわけであるが,多くの医療人を含め一般の国民は,「検査機器に試薬をそろえれば,検査結果は正確に出てくるもの」と考えている.現在の政府(安倍内閣)もそう考え,今回の“検体測定室”が誕生したのである.
それでは,われわれはこの検体測定室にどう対応すればよいのだろう.
この問題についても現在,臨床検査振興協議会で参加5団体*3からメンバーを出し,ワーキンググループで勉強会を行っているところである.
ここでは“検体測定室のできた経緯”“ガイドラインの概略”“検体測定室の現況と問題点”の3項目についてその概要を述べる.
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