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小児および65歳以上の成人に対する13価肺炎球菌結合型ワクチンの有用性
齋藤 昭彦
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野
pp.364-366
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205902
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肺炎球菌の血清型
肺炎球菌はグラム(Gram)陽性の双球菌であり,その表面に厚い夾膜を有し,その夾膜の種類から,現在,92の血清型に分類される.このなかでも,特に乳幼児に重症感染症を引き起こしやすい型や,ペニシリン耐性の頻度の高い型が知られている1).侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal diseases:IPD)をきたすのは,主に2歳未満の乳幼児と高齢者である.また,免疫不全患者,脾摘後の患者もIPDの高リスク群である.肺炎球菌は鼻咽頭に定着し,何らかのきっかけから血流に乗り,菌血症を起こし,そして敗血症,髄膜炎,肺炎,骨髄炎,関節炎,腹膜炎などを引き起こす.小児において,肺炎球菌による髄膜炎の予後は,適切な治療がなされた場合であっても致死率が約10%,てんかん,難聴などの後遺症が約30%起こると報告されており,予後の悪い疾患である2).したがって,罹患する前の,ワクチンによる予防が最も重要である.
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