連載 やなさん。・4
壺装束で熊野古道をゆく
柳田 絵美衣
1
1神戸大学医学部附属病院病理部先端組織染色センター(KATS)
pp.350
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205896
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わが国の世界遺産といえば……文化遺産14件と自然遺産4件の計18件! 柳田が住む近畿地区には「古都京都の文化財」「古都奈良の文化財」「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」と「紀伊山地の霊場と参詣道」があります.この「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれる熊野古道へ行ってきました.柳田が好きなのは大門坂から入る,樹齢数百年の杉木立の中の石畳の道.坂を上り切ったところには青岸渡寺と熊野那智大社があり,その奥に那智の滝が見えます.
石畳……草履だとなかなかに歩きにくいのですが,平安時代の人々が感じたように道をゆきたいと思い,熊野古道をゆくときは「壺装束」に着替えるように決めています.夏は涼しく,冬は温かく着心地は良好! 朝の光が木々の合間から差し込んで,神聖な雰囲気を作り出していました.そんな雰囲気台無しに,「あぁぁ,歩き辛いぃ! 鼻緒が食い込むぅ!! 袴が長いわ!」とゼェゼェと息を切らしながら歩いていると…….「すてき! いいわねぇ!! すてきよっ!」と古道のなか,マダム大興奮.「あ,ありがとうございますぅ.はぁはぁ」と,必死に笑顔を向ける柳田に,マダムは「安寿姫みたいね!!」と…….それは森鴎外「山椒大夫」の悲劇過ぎるヒロインでは……ガクッ.
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