病気のはなし
肝癌・肝細胞癌
佐藤 雅哉
1
,
池田 均
1
1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学分野
pp.288-293
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205877
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Point
●肝癌は,肝臓から発生する“原発性肝癌”と,他の臓器から肝臓に転移した“転移性肝癌”に大別される.肝細胞癌の約9割は肝炎ウイルスによる肝炎・肝硬変を背景に発症し,そのなかでもC型肝炎による感染が全体の70〜80%程度と大部分を占める.
●一般的に肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれ,病気による症状の出にくい臓器である.腫瘍の切除などによって完治するような肝細胞癌には一般的に症状はないため,B型やC型肝炎をはじめとする肝細胞癌の高リスク群の患者には,症状がなくても定期的な画像検査が推奨される.
●肝細胞癌は,癌のなかでも再発の可能性が高い癌であり,癌を根治させる治療を行っても,5年間で8割近くが再発する.また,肝癌に対する根治的治療後の予後については,5年生存率60%程度,10年生存率30%程度と報告されている.
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