検査報告拝見 細菌検査・1
千葉大学医学部附属病院検査部
菅野 治重
pp.1094-1095
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205656
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1.検査伝票について
感染症の診断において,原因菌の検出を担当する細菌検査は重要な位置を占める.伝染病菌など強毒菌による感染症では,検出されれば直ちに原因菌と決定できるような菌種が主な対象であったが,現在は医療の進歩に伴い日和見感染症が増加し,常在菌や弱毒菌まで原因菌となる時代になっている.このような菌種では分離されても直ちに病原菌と決定できない場合が多く,検出回数,菌量,同時検出菌の有無,患者の感染防御能の状態などを加味して総合的に判断する必要がある.
われわれが用いている伝票には,主治医から検査に必要な患者情報を検査室へ知らせてもらうためのアンケート部分がある.診療科,外来・入院,手術,検体と関連する感染臓器(部位)の情報,体温や基礎疾患,投与抗菌剤の有無,感染防御能に大きな影響を与えるステロイドホルモン剤の投与の有無,末梢血白血球数,血液培養で重要となる静脈カテーテル使用の有無などは現在,最低限必要な項目と思われる.この情報により検査室でもある程度,患者背景を理解して検査に当たることができる.
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