ザ・トレーニング
臓器別,部位別,目的別などによる組織標本の染色法
斉藤 まさ子
1
,
大野 順弘
1
,
福田 利夫
1
1群馬大学医学部第二病理学教室
pp.409-412
発行日 1989年4月1日
Published Date 1989/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204935
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病理検査室では病理組織診断を目的として生体から,あるいは剖検時に採取した組織を固定,包埋,薄切して,光学顕微鏡用の切片を作製し,染色します.染色は一般染色と特殊染色とに大別されますが,この区別は厳密なものではありません.組織の一般構造をおおよそつかむために細胞質,細胞核,細胞間物質などを好塩基性色素と好酸性色素を用いて2種類の色調に染め分けるものを一般染色あるいは普通染色と呼び,ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色が行われます.特異的な組織構成成分や細胞内外の物質を選択的に染め出すものを特殊染色と呼びます.
HE染色は代表的な一般染色として使用されていますが,同時に結合組織を染めるという意味では特殊染色です.何を観察しようかという目的によって組織に対してその目的に合った染色法を選びますが,その選択した染色法を適用することは必ずしもいつも容易ではなく,試料の固定条件などによっては染色されないこともあります.この材料の持つ条件は新鮮度(固定までの経過時間),固定条件,包埋法,薄切法の種類によって影響されます.したがって染色法の種類の選択は材料の採取や固定以前に決定し,目的に沿った染色法が適用できるよう心がけるべきです.
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