エトランゼ
林語堂先生の教え・後日談(続)
常田 正
pp.1327
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204334
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最近の新聞報道によれば,半世紀前の"ニューヨーク・レストラン皿割り紳士"の直系の孫に当たるかと思われる紳士がいたらしい.その紳士は海外にも現地法人をつくっており,ビジネスのため月に10回ほどは外国に出かけるほど忙しい方で,日本航空国際線のファーストクラスの常連客である.事のおこりはやはりスープが原因であつた.機内食のスープにスプーンをつけ忘れたことを社長はひどくお怒りになって,担当のスチュワーデスの謝罪に満足せず,調理室におしかけでいってチーフパーサーやスチュワーデスらをニューヨークに着くまで延べ5時間にわたって責め続けたというのである.この間チーフパーサーの胸ぐらをつかんでボタンをひきちぎったり,腕を殴打したり,「でかい顔をするな」とか「退職届けを書け」などと暴言をあびせ続けたというのだ.事を重大視した日航は,内容証明つきの搭乗拒否通告書をこの社長さんに送りつけたという.そんなに不愉快なら二度と日航のヒコーキほ乗らないのかと思ったら,この社長さん「日航は便利だし,ほかの乗務員は皆さん親切だから塔乗拒否を撤回してもらいたい」と言っているとのこと.日本航空でなくてアメリカかイギリスのヒコーキで問題をおこしてくれたら,実験はもっと正確であったのだがと思うと,ちょっと残念な気もする.
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