エトランゼ
林語堂先生の教え(1)
常田 正
pp.849
発行日 1987年6月1日
Published Date 1987/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204189
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先日,国会図書館へ資料研究に行った折,林語堂先生のあの痛快な諷刺をもう一度読みなおしてみたいと思って探してみたところ,先生の随筆集が一冊もないのに驚いた.館員に尋ねてみたが,若い人は勿論のこと,年配の館員までが「林語堂」の名前すら知らないのでまた驚いた.
林語堂という人はアメリカに帰化した中国人で,独特の諷刺と流麗な英文で知られた文人である.むかし日中関係の悪化していた頃文筆をふるって日本の悪口をさかんに書いていた人でもある.林先生は英語の達人なので日本の中国侵略の問題に関して日本人と大いに議論を戦かわしてやろうと手ぐすねをひいていたが,結局先生の望みはかなえられなかった.その理由を先生はたしかこのように書いておられた.
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