トピックス
便潜血の免疫学的測定法
山田 誠一
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1聖マリアンナ医大・臨床検査医学
pp.1151
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204280
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消化管の出血性病変,ことに大腸癌やポリープ,潰瘍性大腸炎のように少量ずつ持続的な出血を主症状とする疾患のスクリーニング法として,操作が簡単なうえに短時間で検体を処理できる有用な検査として,糞便中の潜血反応試験が行われている.
従来,便潜血検査はオルトトリジンおよびグアヤック法が行われてきた.これらの方法はヘモグロビンのヘムが持つペルオキシダーゼ様作用により,過酸化水素から活性酸素が発生し,同時に存在する試薬(オルトトリジン,グアヤック脂)が酸化されて生じる色調の変化を,肉眼的観察により判定するものである.しかし食肉,魚類などの動物性食品に含まれる血色素や野菜・果実類に含まれるペルオキシダーゼ,鉄剤,サリチル酸,ブロム酸,蒼鉛剤などの医薬品でも同様の反応を生じるため,実施3〜4日間の潜血食による食事制限を厳密に行う必要がある.またオルトトリジン法は鋭敏すぎて偽陽性が多く,グアヤック法は感度が低すぎて偽陰性が多いと指摘されている.
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