臨床生理検査と技術 わだい
誘発電位トポグラフィー
古和田 正悦
1
1秋田大学医学部脳神経外科
pp.590
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204111
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最近の画像処理技術の進歩に伴い,各臨床領域においてさまざまな画像処理が応用されている.脳神経領域の器質的・機能的評価にはX線CTをはじめ,ポジトロン・エミッションCTやNMR-CTが導入されており,その一つとして脳波および誘発電位のトポグラフィーが挙げられる.トポグラフィーという言葉は,本来,地形図とか地勢図を意味し,いわば分布図のことである.脳波や誘発電位の研究には以前から種々の分布図が用いられてきたが,最近ではトポグラフィーという名称が一般的になり,またそれを専門的に討議する研究会もできているので,ここでは誘発電位トポグラフィーと呼び,その概略を述べる.
周知のように,誘発電位の研究では電位分布図をはじめ,さまざまな二次元表示や立体表示が行われてきたが,最近では生体電気現象の情報処理技術の進歩から,視覚,聴覚,体性感覚などの誘発電位の解析にトポグラフィーが広く応用されるようになった,脳波トポグラフィーと同様に,誘発電位のトポグラフィーも基本的には,表示する円の決定,補間処理の方法および量子化の3過程から成っており,もっとも一般的なものは,誘発電位の経時的変化を等電図として表示するものである.市販されている機器は12または16チャンネル仕様で,高電位部位を赤色系に,低電位部位を青色系に11段階に色分けして表示するものである.連続して表示するものをダイナミック・トポグラフィーと呼び,専用の機器も市販されている.
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