検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
溶レン菌感染症の血清学的検査の意義
藤川 敏
1
1獨協医科大学越谷病院小児科
pp.133-136
発行日 1987年2月1日
Published Date 1987/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203983
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発熱,発疹,関節炎,浮腫などの症例を診察すると,私たち臨床医は必ずといってよいほど赤沈,CRP,血算などとともにASOを測定する.もちろん,その疾患がレンサ球菌感染が原因となっているかどうかを診断する目的でである.リウマチ熱,急性糸球体腎炎などA群レンサ球菌感染に起因する疾患は,感染後3〜4週に発病する.したがって,これらの疾患の症状,症候が出現するころには患者から細菌が培養されることは少なく,血清反応による診断が必要なのである.
A群レンサ球菌は多くの抗原を保有する.菌体抗原として多糖体,ペプチドグリカン,M,T,R蛋白などがある.M,T,R蛋白は菌型判定に測定されているが,臨床的に患者血清で測定されることはない.抗ペプチドグリカン抗体は研究的に測定されている.抗多糖体抗体は臨床的にも応用されている.一般臨床に測定されているものは菌体外酵素に対する抗体でASO,ASK,ADN-Bなどであり,したがって本稿では主にこれらの抗体についての検査の意義を解説したい(図).
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