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アポE-Kochi
末廣 正
1
1高知医大第2内科
pp.899
発行日 1986年7月1日
Published Date 1986/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203800
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血中のリポ蛋白は脂質とアポ蛋白との複合体であり,脂質の運搬や代謝調節を行っている.アポ蛋白にはA-Ⅰ,A-Ⅱ,B,C-Ⅱ,C-Ⅲ,Eなどがあり,これらはリポ蛋白の構成成分のみでなく種々の働きをもっていることがわかってきた.このうちアポ蛋白E(アポE)は,ほとんどが肝で作られ,血中では主に超低比重リポ蛋白(VLDL),高比重リポ蛋白(HDL)分画に存在し,細胞表面のB・EレセプターやEレセプターと結合することによりリポ蛋白の異化に重要な役割をもつと考えられている.また,アポEは三つの対立遺伝子によって決められるイソ蛋白(E-2,E-3,E-4)があり,この組み合わせにより六つの表現型が存在する1).
これらのうちE-2のホモ接合体からⅢ型高脂血症(broad-beta disease)が発症することが明らかにされており2),このイソ蛋白の同定は臨床上重要となっている.アポEのイソ蛋白を同定するには,一般に血清のリポ蛋白分画の等電点電気泳動が用いられているが,これは各アポEイソ蛋白の等電点が一荷電ずつ異なり,本電気泳動によって分離されるためである.さらに,等電点電気泳動と,分子量により移動度の異なるSDS電気泳動を組み合わせた2次元電気泳動法によれば,より明瞭に分かれる.
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