病気のはなし
急性膵炎
内田 耕太郎
1
,
真辺 忠夫
2
,
宮下 正
2
1京都大学医療技術短期大学部
2京都大学医学部第1外科
pp.838-844
発行日 1986年7月1日
Published Date 1986/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203780
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急性膵炎とは
一般に急性炎症というと,ブドウ球菌,レンサ状球菌などによって局所的に発熱,発赤,腫脹,疼痛を現わすものをいうが,急性膵炎には特定の起炎菌はなく,膵臓が自ら分泌する酵素によって障害を受ける病態である.激烈な腹痛,ショック,さらに肝,腎,心臓,肺など重要臓器に障害を生じ,経過と予後に重大な影響を与える多彩な症状を表わす.また病理組織学的には出血,壊死など退行性病変,循環障害が現われ,炎症細胞の浸潤を伴わないものがあるという特徴がある.
膵臓は解剖学的に前面が腹膜によって覆われて腹膜後隙に存在し,その病変は膵臓にとどまらず周囲に波及して腹膜後隙が火傷を受けたようになり,大動脈周囲の神経節に変性を生じショックなどを起こす.
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