検査技師のためのME講座
オシロスコープとシグナルジェネレータ
石島 正之
1
1東京女子医科大学医用工学研究施設
pp.723-726
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203746
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オシロスコープ
1.原理
オシロスコープは電気信号を目に見える波形として画面に描き出す装置で,生体電気信号の波形認識や電気回路の点検などに役だつ測定器の一つである(図1).画面に当たる部分には,一般のテレビと同じようにブラウン管(CRT)を使用している.管内で電子ビームを発生させ,蛍光面に当てて発光させることにより,管面に波形を描く機構である.しかし,この電子ビームを振らす方式はテレビの電磁偏向型に対し,オシロスコープでは静電偏向型である.すなわち,テレビに見られるような磁界でビームを振るのではなく,電界で振るという大きな違いがある.電界でビームを操作する方が構造上複雑で高価になるが,ビームの位置を精度高くコントロールすることができる.
CRTの電子ビームをコントロールするには,図2に示されるように二つの信号が必要である.一つは垂直(Y軸)方向にビームを振らすための信号,すなわち測定したい入力信号であり,他の一つは水平(X軸)方向に一定速度でビームをスキャンさせるためののこぎり波信号である.このほかに一つ重要な回路が同期回路である.この回路は基本的に,測定したい入力信号がある電圧レベルに達するとパルスを発生し,このパルスでのこぎり波の発振が始まる.この結果,ビームはCRT蛍光面の左側から右に向かって走査を開始する.これを「トリガをかける」といい,繰り返しのある入力波形が画面上で止まって見えるのはこのトリガのおかげである.
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