形態学的検査と技術 血液と病理
血液
[5]その他の検査法
[C]貪食試験
東 克己
1
1杏林大学医学部附属病院中央臨床検査部
pp.508-511
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203685
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はじめに
貪食試験には大きく分類して二つの検査目的がある.一つは形態学的検査において不明細胞が出現した際の細胞鑑別のために行うもので,細胞化学的方面の検索と並行して機能的方面から検索する方法として用いられている.他の一つは,白血球,特に好中球の機能不全症の補助的診断として必須検査の一つである.
生体内での白血球の役割が異物に対する防衛であり,好中球の遊走,異物への吸着,取り込み,殺菌,消化という過程で好中球は浄化作用を完結するとともに自解し,炎症反応の引き金となるものであり,それぞれの過程における定量的検索は必須のものである.
また貪食過程における機能不全としては,免疫グロブリン,特にIgG低下のために取り込み障害の示唆されているimpotent neutrophil syndrome1),またIgGのFc部分が蛋白質分解酵素によって切断されたもので異物に結合せずに白血球に直接結合すると考えられているtuftsinの欠損による取り込み障害のtuftsin欠損症2),そして白血球の収縮蛋白の一つであるアクチンの障害が示唆される好中球アクチン機能不全症3)が報告されている.
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