形態学的検査と技術 血液と病理
わだい
LAKとIL-2を併用した抗腫瘍療法
押味 和夫
1
1東京女子医大第1内科
pp.504
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203682
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昨年12月5日発行の"NewEngland Journal of Medicine"で,米国National Cancer InstituteのRosenbergらのグループは,LAKとIL-2を併用した抗腫瘍療法で著効を示す症例がみられたことを発表した.このニュースは日本でも新聞やテレビで取り上げられ,注目されたことは記憶に新しい.この治療法について簡単に述べる.
LAKとはインターロイキン-2(interleukin-2:IL-2)によって活性化されたリンパ球(lymphokine-activated killer)のことで,このキラー細胞は試験管内で腫瘍細胞を効率的に障害する.しかしLAKを患者に投与しただけでは抗腫瘍効果は認められなかった.また,IL-2を単独投与しても効果はほとんど認められなかった.そこで彼らは動物実験の成績に基づいて,LAKとIL-2を併用することにより,生体内に注入されたLAKを外部から投与したIL-2でさらに増殖・活性化すれば抗腫瘍効果が現われるであろうと予測した.予測は見事に適中して,化学療法剤が無効になった25人の進行癌の患者のうち,1人が完全寛解,10人が部分寛解を示した.
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