形態学的検査と技術 血液と病理
血液
[4]造血能と免疫学的検査
[C]細胞性免疫に関する検査
2)モノクローナル抗体によるリンパ球の分類—T細胞,B細胞
山田 輝雄
1
,
安田 英之
1
1三井記念病院中央検査部
pp.490-494
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203678
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はじめに
従来,リンパ系細胞の免疫機能的分類は,主として細胞膜表面に存在するヒツジ赤血球に対するレセプターおよび免疫グロブリンの証明によって,T・Bリンパ球の二つのサブポピュレーションに分類されることによって行われてきた.1975年KöhlerとMilsteinにより細胞融合法が確立され,その応用によって各種のモノクローナル抗体(monoclonal antibody;以下MoAb)が作製されるようになって以来,それまで検出できなかった微量の膜表面抗原の検出が可能となり,T・B二つのサブポピュレーションはさらに細かいサブセットに分類することが可能になった.
周知のように,リンパ系細胞の表面抗原のほとんどは膜表面上に固定化されているものではなく,個体発生ならびに分化成熟と関連して消長する分化抗原であることから,その帰属を証明するためには数種類のMoAbを必要とする。そのため,近年ではフローサイトメトリーによる自動解析法が広く普及してきているが非常に高価な装置であることから,どこの施設でも簡単に導入できるというわけではない.したがって,MoAb法を日常検査に取り入れる第一ステップとして,特に高価な装置を必要としない蛍光抗体間接法や,光学顕微鏡で観察できる酵素抗体法,あるいは担体を用いたロゼット形成法などが比較的導入しやすいと考えられる.
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