検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
画像解析に基づく細胞診断の自動化
田中 昇
1
,
上野 哲夫
,
池田 栄雄
2
1千葉県がんセンター研究所病理研究部
2千葉県がんセンター研究所細胞診室
pp.417-422
発行日 1985年5月1日
Published Date 1985/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203335
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細胞診断自動化の必要性
種々の検査領域に自動化が大幅に導入され,検体の高速処理機能によって急速な検体増加に対応したり,精度を高めるうえにも貢献しているが,多くの自動機器は検体処理やデータを出すことを目的とした,いわばロボット的なものが多い.細胞診断の自動化は細胞の悪性,非悪性を判断する人工頭脳的(cybernetic)な機能内容をもつもので,自動化の本質をいくものと思われる.それだけにソフト・ウェア開発に難問が多い.
細胞診断を最も必要とする領域は特に婦人科集団検診で,現在,集検,施設検診を含めて300万〜350万件といわれているが,この被検者数は30歳以上の対象女性人口の約10%程度である.老人保健法の施行に伴って,厚生省は近い将来,これを30%に引き上げることを目標としているので,約1,000万件に増加すると予想される.ところで,検査する側の細胞検査士(CT(JSC))は現在約2,000名で,このうち細胞診を本業としている者ないし多くの時間を細胞診に割いている者の実態は判明していないが,その1/5程度と推測され,也の検査領域に配置され,細胞診と無縁の業務に携わっているのが実情である.したがって現在の検査件数と細胞検査士との間でバランスがとれているので,現在件数の3倍を処理するためにはなんらかの方策が必要である.
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