技術講座 輸血
交差適合試験
山本 一恵
1
1大阪大学病院輸血部
pp.988-992
発行日 1984年11月1日
Published Date 1984/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203184
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輸血に占める交差適合試験の位置
輸血の目的は受血者に不足している血液成分を輸注して補い,かつそれが受血者の体内において,あたかも健康時そのままのごとく作用することで達せられる.しかし,せっかくの輸血が無効であっても残念だし,まして副作用などを引き起こすようなことになれば大変なことである.その危険を防止するためにさまざまな工夫がなされている.例えば,
1)輸血血液の安全確保および保存管理
2)スムーズな流通機構
3)的確な輸血指示
4)輸血前検査:①血液型検査,②不規則抗体検査,③交差適合試験
5)輸血後副作用の有無確認およびその処置
などである.交差適合試験はそのうちの一つの関門であって,輸血の安全を保証するすべてではないが,輸血直前の最終の防波堤ともいうべき非常に重要な検査である.また輸血過誤の中で見落としてはならないものに,事務ミスや取り違いがかなりの比率を占めているということである.
そこで交差適合試験を精確に行うことはもちろんであるが,できるだけ簡略に,そして早く対応できるようなシステムを作ることが必要である.事前に次の1)〜5)のようなことを知っておくと,能率よく作業ができる.
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