技術解説
交差適合試験の実際
松橋 直
1
1東大医学部血清学教室
pp.21-25
発行日 1960年1月15日
Published Date 1960/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905656
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ちかごろ輸血はますますさかんにおこなわれるようになつてきている。手術方法の進歩にともないその規模が大きくなつたことも原因であろうし,また,血液そのものの治療効果の大きいことがわかつてきたこともその理由であろう。一方,輸血がさかんにおこなわれるようになるにつれ,輸血副作用も輸血事故の数も比例して多くなつている。そして,輸血に多少の事故はつきものであると考えるものさえあらわれるようになつてきている。しかし,健康な給血者をえらび,細菌学的にも化学的にも清浄な器具をもちい,正しい術式で交差適合試験をおこなえば,輸血事故はふせげるものであり,また輸血副作用はそれほどあるものではない。そこで,健康な給血者がえらばれ,細菌学的にも化学的にも清浄な器具がもちいられて採血されたばあいに,もつとも問題になる交差適合試験についてつぎにのべたいとおもう。
この交差適合試験をおこなうには,従来おこなわれたようなベッドサイドでおこなう三滴法では不十分であり,ぜひとも,今日の輸血に関する血清学の知見にもとずいた検査法をおこなうことが望ましいわけである。しかし,その術式をおこなうには,十分の知識と,十分熟練を必要とするので,今日ではベッドサイド医師や看護婦が片手間におこなうことはむずかしくなつてきている。いきおい,中央検査室あるいは輸血センターないし院内血液銀行で,十分に訓練をうけた技術者によつて実施されるようになつてきている。
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