検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
血液塗抹標本—ロマノフスキー染色
松本 昇
1
1山口大学医療技術短期大学部
pp.408-412
発行日 1984年5月1日
Published Date 1984/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203030
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"物を見る"ことは,自然科学が学問体系を整えてゆく過程の第一歩である.先人たちは自然科学の各分野でこの"見る"ために努力し,発展の土台となる数多くの業績を残している.血液学に関連したこの分野の特筆すべき業績として,Antonj van Leeuwenhoek(1632〜1723)による顕微鏡の発明と,Paul Ehrlich(1854〜1915)による血球染色法の発見が挙げられる1).この2人によって血液形態学の基礎が作られたといっても過言ではあるまい.血液塗抹標本を染色してそれを顕微鏡で観察することは,染色法が確立しておよそ80年を経た今日でもなお血液疾患の診断に不可欠な検査として,また血液学研究の基本的検索手段として世界中で広く用いられている.
テーマは血液塗抹標本であるが,ここでは塗抹標本作製過程の中心となるロマノフスキー・タイプ(Romanowsky type)の染色法について解説する.
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