技術講座 細菌
ウレアプラズマの分離法
吉田 茂子
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.149-153
発行日 1984年2月1日
Published Date 1984/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202967
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ウレアプラズマについて
ウレアプラズマ(Ureaplasma)はマイコプラズマ科に属しているが,一般マイコプラズマにはみられない特殊な性質,すなわちウレア(尿素)を分解するウレアーゼ活性を持っていることから,ウレアプラズマ属として新しい属名で呼ばれるようになった.
このウレアプラズマは,1945年に非淋菌性尿道炎の患者の分泌物から初めて分離されたが,発見当時は,人工培地での増殖がたいへん難しく,また寒天培地上のコロニー(集落)は非常に小さく,ウイルスと見違えるほどで,その性質もほとんどわからなかった.そこで,この小さな一群のマイコプラズマをT-strain,またはtiny form PPLO,T-Mycoplasmaなどと呼んでいた.このT-Mycoplasmaが尿素を分解する性質があることがわかり,マイコプラズマ培地の中に尿素と指示薬のフェノールフタレインを加えることによって,容易に分離培養ができるようになった.その後,現在までにヒト以外に,ウシ,ネコ,イヌ,ヒツジ,ヤギ,ブタ,ミンクなどの哺乳動物や鳥類などからも分離報告がなされてきた.そして,さらにこのウレアプラズマには,種属特異性があることがわかり,ヒトから分離されるウレアプラズマがウレアプラズマウレアリティクム(Ureaplasma urealyticum)と名づけられ,ヒト以外の他の動物から分離されるウレアプラズマと区別して呼ばれている.ヒト以外の動物から分離されるウレアプラズマについては,ウシを除いてはいまだ確定した呼名がなく,ウレアプラズマ属として一括して扱われている.
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