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毎年70万人の方々が亡くなられている.そのうち悪性新生物でなくなられた方は年々徐々に増加し,1974年に133,351名であったのが,1980年には161,764名に達している.1900年(明治33年)には20,334名で総死亡に対する割合も2.2%に過ぎないが,1980年には22.7%にもなっている.剖検に付される症例も年々徐々に増加し,1980年には全死亡の5%36,134例に達している.このうちで悪性新生物の剖検例は20,378例ある.剖検症例の過半数は悪性新生物で,悪性新生物の死亡者の12.6%が剖検されている.現在は悪性新生物で亡くなった方の10人に1人は医学の研究のためにそのご遺体を捧げてくださっていることになる.
剖検例の中での癌の発生部位別相対頻度を東京大学の剖検例でみると,胃癌が1883年から1930年までは33〜35%であったが,1930年代から減少し,最近の20年間(1961〜1980)はほぼ16%と横ばいの状態が続いている.日本全国の剖検症例でも最近の7年間は19〜17%とほほ横ばいでやや減少の傾向にある.肺癌は1920年までは2.1〜4.0%,1921〜1960年までは5.8〜8.6%,最近の20年間は11%と徐々に増加している.日本全国の剖検症例では最近は14.3〜15.6%と横ばいである.大腸癌は1970年までは0.9〜2.4%と横ばいであったものが最近の10年間では5.2%と急増している.日本全国の剖検症例では,1974〜1976年には3.2〜3.5%であったものが,1977〜1980年には5.8〜6.4%と増加している.東京大学の剖検例の記録は明治16年(1883)からあるので,それを活用することができる.この一施設の記録で日本の癌の全体像を把握することができるかどうかは問題ではあるが,日本全国の剖検例での最近の動向と最後の部分では重なり合うので,かなり信用してもよいと思われる.
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