検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
クリオグロブリンの測定
吉田 浩
1
,
森藤 隆夫
1
,
粕川 禮司
1
1福島県立医科大学第二内科
pp.409-414
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202755
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血清を体温より低温(通常は0〜4℃)に保存すると白濁し,やがて白色の沈殿物の形成またはゲル化が認められ,それは37℃に温めると再び溶解する現象がある.この現象は1929年,Heidelbergerらにより初めて記載され,その後,1947年,Lernerらはこの寒冷沈降性蛋白をクリオグロブリンcryoglobulinと名付けた1).図1は4℃1夜放置後の血清で,大量のクリオグロブリン出現をみた例と少量認められた例を示したものである.
クリオグロブリンの出現は基礎疾患の明らかでない場合(本態性または特発性)と明らかな基礎疾患を有する場合とに2大別されており,後者には種々の自己免疫疾患や感染症などが含まれている.クリオグロブリンが注目をひいたのは,この中のあるものが免疫複合体immune complexであり,ある種の疾病に病因的役割を演ずることがあると考えられたからであろう.本稿ではクリオグロブリンの検出・検索法,疾患との関係,およびその形成機序に関する考え方などについて述べる.
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