検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
細菌の生化学的反応とその原理・1
横沢 光博
1
1東京共済病院中央臨床検査科
pp.319-324
発行日 1983年4月1日
Published Date 1983/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202732
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1960年代以来,生物界の最大の区分けは,核膜でしきられた核をもつ細胞(真核生物)と,核膜がなく核物質が細胞質中にただよう細胞(原核生物)とに分けることである.真核生物は形態学的要素でかなりなところまで区別することができるが,原核生物に属す細菌は体制がきわめて簡単で,光学顕微鏡レベルの観察では分類・同定は不可能である(図1).細菌は多種多様な菌体外酵素を分泌して種々の物質を菌体内に取り込んでこれを代謝し,菌体外代謝産物を排泄する.これらの代謝産物を証明することは,検査室レベルでの生物学的性状検査として細菌の鑑別・同定に広く用いられている(図2).筆者は日常利用されている主な生物学的性状検査について,そのメカニズムを解説する.
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