検査を築いた人びと
補体結合反応の発見者 ジュール・ボルデー
酒井 シヅ
1
1順天堂大学医史学
pp.318
発行日 1983年4月1日
Published Date 1983/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202731
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血清学的診断法は前世紀から今世紀の変わり目に目覚しい発展を遂げたが,それを支えた一つの重大な発見の一つがボルデーの補体結合反応である.
ジュール・ボルデーは1870年6月13日にブラッセルから40キロ離れた小さな町ソワーニィに生まれた.彼はフランス系のベルギー人で,父親がこの町に教師として赴任していたときに生まれた.ほどなく一家は首都ブラッセルに移り住む.利発で成績も抜群のジュール少年は,16歳で早くもブラッセル大学に入学した.一般のコースは7年であるのに彼は6年で医学士となった.22歳である.しかもこの年に食菌現象についての処女論文をフランスのパストゥール研究所の雑誌に発表した.それは超一流の専門雑誌であり,それに掲載されることはたいへんな名誉である.彼が微生物学の道に進んだきっかけは兄のチャールスの影響に他ならない.このころチャールスは白血球の化学走性について研究していた.
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