増刊号 免疫検査実践マニュアル
総論
Ⅱ.免疫学的測定法
4.補体結合反応
水岡 慶二
1
1三井記念病院中央検査部
pp.49-51
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901878
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■補体結合反応の原理
抗原抗体反応が起こり,抗原抗体複合体が形成されると,補体はその複合体に結合する.もう少し正確にいえば,抗体がIgGならばそのFc部分のCH2ドメイン,IgMならばCμ3ドメインに補体が結合する.一定量の補体を用いたときに結合する補体量はそこに形成される抗原抗体複合体の量に左右されるので,残存補体量は複合体が多く作られるほど少なくなる.したがって,特異的抗原抗体反応が起こったか否かは,最初に加えた補体量がこの段階(第1相の反応)でどれだけ消費されたかを見ればわかる.しかし実際には,どれだけの補体が消費されたかを肉眼で見ることはできない.そこで,第2相の反応として,赤血球(通常ヒツジが使われる)に至適濃度の溶血素を結合させた感作血球を加え,溶血反応が起こるかどうかをみる.感作血球が溶血するかどうかは,残存補体量いかんによって決まる.第1相の反応で抗原抗体反応が起こり,加えた補体が消費されていれば,第2相で加えた感作血球は溶けず,第1相の反応で抗原抗体反応が起こらず,補体が残存していれば第2相の感作血球は溶ける.このように,後から加えた感作血球がどれだけ溶けるかによって,第1相で抗原抗体反応が起こったか否かを間接的に知るのが補体結合反応である.したがって,実際には補体消費試験とも呼ぶべき方法である.
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